法律で定められた中学校

憲法における中学校

憲法においては教育について、第二十六条※において
・ すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
・ すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
と定められており、中学校は憲法でいう義務教育にあたる。
義務教育とは何か、普通教育とは何かは各法律に記載を譲っている。
※出典:日本国憲法(条文抜粋)より

教育基本法における中学校

教育基本法には「日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため」として「教育の目的及び理念」「教育の実施に関する基本」「教育行政」「法令の制定」について規定されている。
理念や目的以外の具体的な内容としては
  • ・国及び地方公共団体が義務教育の機会を保障すること
  • ・義務教育期間が9年であること
  • ・国公立の義務教育段階の学校について授業料は不徴収であること
などが定められている

教育基本法は1947年公布・施行。当時の文部科学大臣田中耕太郎により憲法とは別に法律で定めることが提案され作成・施行に至った。なお2006年(平成18年)12月22日に改正されている。
改正は以下の観点から時代に即した形で検討された。
  • 信頼される学校教育の確立
  • 「知」の世紀をリードする大学改革の推進
  • 家庭の教育力の回復,学校・家庭・地域社会の連携・協力の推進
  • 「公共」に主体的に参画する意識や態度の涵養
  • 日本の伝統・文化の尊重,郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養
  • 生涯学習社会の実現
  • 教育振興基本計画の策定

※出典:教育基本法

学校教育法における中学校

<義務教育について>
学校教育法では指定された学校の種類毎に目的・目標、教育内容、体制、修学条件などが定められている。
第十七条には
「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子が、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校又は特別支援学校の小学部の課程を修了しないときは、満十五歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間において当該課程を修了したときは、その修了した日の属する学年の終わり)までとする。」 とあり
保護者は、子が小学校又は特別支援学校の小学部の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十五歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部に就学させる義務を負う。」
としている
義務教育の目的は「心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すこと」であり、以下のようなことを目標としている。
  • 一  学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
  • 二  学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
  • 三  我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
  • 四  家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
  • 五  読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
  • 六  生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
  • 七  生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
  • 八  健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
  • 九  生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
  • 十  職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

学級の規模は12学級以上18学級以下が標準規模とされ、中学校の教職員としては、校長、教頭、教諭、養護教諭、事務職員を必置とし、副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養教諭その他必要な職員(学校用務員、学校栄養職員、給食従事員、学校警備員等)を置くことができると定めている。
本文にはこれら職員の職務が記載されています。

<中学校について>
中学校については第45条に「中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。」とあり小学校の教育を前提にその高等教育を目的としていることがわかる。
就業年数は第47条「中学校の修業年限は、三年とする。」と明記されており、教育課程は「文部科学大臣が定める。」となっている。
「第三十五条及び第三十七条から第四十四条までの規定は、中学校に準用」とあり、その中の記載にはいじめや不良少年に対する記載がある。いじめられている子がいたらぜひ参考にしていただきたい。 その箇所は第35条で「市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。」とありいじめにたいする対抗措置も記載されている。具体的な行為としては。
  • 他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
  • 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
  • 施設又は設備を損壊する行為
  • 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
とある。「他の児童に傷害」といういじめの典型だけでなく言葉の暴力にあたる「心身の苦痛」やいわゆるカツアゲにも「財産上の損失を与える行為」という形で記載されている。 ちなみに先生に対する暴力にも言及している。
※出典:学校教育法

ページの先頭へ